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ルネサステクノロジ社のSuperH(SH)マイコン用クロスコンパイラをUbuntuで構築する。

はじめに

クロスコンパイラとは、それが動くマシンとは異なるアーキテクチャの機械語コードを出力するコンパイラのこと。 マイコン用のプログラムを書く場合、マイコン上でコンパイルするのは非現実的なので、PCなどにマイコン用のクロスコンパイラを導入し、そこで機械語コードを生成した上でなんらかの手段でマイコンのEEPROMなどに書き込むというのが一般的である。

大学の研究室では、秋月電子のSH2マイコンボード「AKI-SH2/7045F」を使ってプログラミングをしている。その際使うクロスコンパイラをUbuntuに導入したときの手順を書き留めておく。

構築手順

必要パッケージとソースコード

まず、クロスコンパイラのソースをコンパイルするために必要となるパッケージをインストールする。

$ sudo apt-get install libc6-dev gcc-3.4

その後、以下のソースコードをそれぞれダウンロードする。

バージョンの組み合わせ次第でうまくいったりいかなかったりするようだ。

ダウンロードしたら適当なところにuntarしておく。例えばここでは、/home/userに解凍することにする。

$ cd /home/user
$ tar zxf binutils-2.14.tar.gz
$ tar zxf gcc-core-3.4.6.tar.gz
$ tar zxf newlib-1.10.0.tar.gz

インストールは全てroot権限で行った方が余計なトラブルに遭うことなく進む。

$ sudo su

以降はrootであることを前提に作業を進める。

binutilsをインストール

コンパイル時にコンパイラのバージョンを明示的に指定する必要がある。

# mkdir binutils_tmp
# cd binutils_tmp
# ../binutils-2.14/configure --prefix=/usr/local/sh_cross_3.4.6 --target=sh-coff
# make CFLAGS=-O2 CC=gcc-3.4
# make install
# cd /usr/local
# sudo ln -s sh_cross_3.4.6 sh_cross

gccをインストール

non-rootユーザでconfigureをしてコンパイルしたところエラーが出たので、 configureからきちんとrootユーザで作業をしたほうがよい。

# cd /home/user
# mkdir gcc-3.4.6_tmp
# cd gcc-3.4.6_tmp
# export PATH=$PATH:/usr/local/sh_cross/bin
# ../gcc-3.4.6/configure --prefix=/usr/local/sh_cross_3.4.6 --target=sh-coff --with-newlib --with-headers=../newlib-1.10.0/newlib/libc/include --enable-languages=c
# make CFLAGS=-O2 CC=gcc-3.4
# make install

newlibインストール

# cd
# mkdir newlib_tmp
# cd newlib_tmp
# ../newlib-1.10.0/configure --prefix=/usr/local/sh_cross_3.4.6 --target=sh-coff --norecursion
# make CFLAGS=-O2 CC=gcc-3.4
# make install

パスにクロスコンパイラを追加

以上の手順でクロスコンパイラの導入が完了したはずである。 あとはクロスコンパイラの実行ファイルをパスに追加して終了。

$ echo 'export PATH=$PATH:/usr/local/sh_cross/bin' >> ~/.bash_profile

コンパイラスイッチ

SuperH用gccはコンパイラスイッチによってSuperHのシリーズを指定することができる。 先に紹介したSH2シリーズなら、

$ sh-coff-gcc -m2

とする。

Last-modified: 2007-11-02 (金) 08:08:47 (6010d)